おきなわ県民カレッジ第8回美ら島沖縄学講座
講 座 名 「『歴代宝案』の世界 その1」
開 催 日 令和元年11月11日(月)
開催場所 南部合同庁舎4階会議室、サテライト会場
講 師 赤嶺 守 氏(名桜大学大学院 特任教授)
『歴代宝案』の原本は、明治政府による接収や焼失、沖縄戦によって失われた。沖縄県は、平成元年(1989)から、現存する影印本や写本等をもとに『歴代宝案』を復元。その内容は、中国との外交文書が主に収められており、『歴代宝案』を読み解くキーワードはまさに「中国」と「礼」である。また、「レキオ」とはポルトガル語で「琉球の士族」を意味し、1930年代に発見された『歴代宝案』によって判明した。『歴代宝案』は、アジア世界の交流、琉球の外交関係等、史実を解明する上で、第一級の貴重な資料であるといっても過言ではない。
また、1879年の琉球処分と1972年の祖国復帰について、その歴史的経緯(日本、中国、台湾、アメリカとの歴史的関わり)や伊波普猷の「日琉同祖論」を交えながら解説していただいた。
赤嶺先生は、「今(現在)を生きる私たちにとって大切なことは、『歴代宝案』から史実を知り、それを踏まえて将来の沖縄について考えることである」と受講者に思いを寄せた。
『歴代宝案』の編集事業や、長きにわたり「中琉関係史」を研究してきた赤嶺先生の知見を基に、受講者との問答を交えながら講義が進められた今回の講座。「なるほど!」「へぇ~!」「でもね、先生!」ーーー。会場のあちらこちらから、いろいろな声が飛び交う。受講者の関心も高く、先生の質問に応え、自分の意見(思い)を積極的に述べる等、充実した講座となった。次回の講座「『歴代宝案』の世界 その2」(12月11日実施)もお楽しみに!